東日本大震災で亡くなられた方々に哀悼の心を捧げ、
そのご遺族並被災者の方々に対し衷心より御見舞い申し上げます。

 東日本大震災による津波被害の状況をテレビで観た時、このすさまじい状態を身近で見た事があるぞと思ったのです。
 それは、昭和三十三年。忘れもしない狩野川台風の時。
 狩野川中流の川岸に建つ我家は、家の前に立つ岩山・水晶山が台風による大水をはね返したおかげで、幸いに無事でしたが、その山の下にかかる大仁橋は流され、対岸の堤防は決壊。沢山の人が亡くなりました。我家のすぐ下百メートル程の十数軒の家々も流されたり、残った家も半壊状態でした。
 台風の後、幼かった私が眼にした風景は、むざんに流された橋と堤防。一夜にして消えてしまった対岸の町。近所の半壊した家の中に残ったガレキの山。そして強い泥の臭い。家の裏の竹藪の中に入りこんだ川の水。そしてその上に洪水で流されてきた家畜の死骸等が浮かんでいた事を今でもハッキリ覚えております。
 今日、狩野川台風で流された橋・堤防は、新しく作られ、その堤防の上には国道が走り、沢山のレストラン等が建ち並んでおります。また対岸の町も復興され、大きな温泉施設も作られ、美しい町並みに生まれ変わっています。
 僭越ですが、小生今まで生きてきて確信した事がございます。それは"人は生命を取り留め、そして一歩を踏み出す勇気さえあれば何とかなる。そしてまたその一歩一歩を続けていく事ができれば、大きく成長し、すべての物事は成就する。"という事です。
 東日本大震災の后、『愛燦々』という歌に出会いました。大震災后、被災地での沢山の方々の勇気・親切・忍耐・そして復興への志を観、聞く時、『愛燦々』の歌詩の如く、心秘かに、嬉し涙を流しております。
 人は哀しく、かよわく、かわいいものですね。そしてまた強いものだと思っております。

(2011年8月)

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