■ 平安期密教法具



 昭和三十六年十一月二十八日のこと。修禅寺裏山の共同墓地で4人の庭師が、地中から古い法具を偶然発見しました。
 弘法大師ゆかりの、独鈷の湯などの伝説があるこの土地で本物の独鈷杵が出土した事に町は騒然となり、出土品は役場に持ち込まれて専門家に鑑定されました。

 それらは平安期(藤原期)の密教法具で、とくに煩悩を撃破するという「金銅製蓮弁装独鈷杵」(写真手前)は長さ二十四センチ、直径二.六センチ、数少ない伝承品の中でも逸品で、重要文化財指定の高野山金剛峰寺に伝わるものと同系統のものです。
 平安期のものの特徴として、先端は古代インドの利器のなごりで鋭利さを保ち、請花が素弁であること、紐模様が三重であることなどがあげられます。鍍金にはアマルガム手法が用いられて金工技術的にも優れ、学術的にも美術工芸的にも重文級と評価されました。
 残念ながら、発見当時の証拠類が不備のため、文化財には指定されてはいません。

これ以外の出土遺物は「金銅製四足火舎香炉」(写真中央)、「金同製亜字型花瓶」(同右上)、緑釉製輪花口縁六器、水晶製念珠玉と銀製露玉飾り、鉄製雲型火打鎌、砥石などで、いずれも千年ほど前の真言密教の護摩壇で使用されたものと推測されます。



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