■ 広重筆、修禅寺湯治場



 歌川広重(1797-1858年)は、江戸後期に活躍した浮世絵師。歌川豊広に師事して美人画や役者絵を描いたが、南画や円山派の写実を取り入れ「東海道五十三次」の錦絵により一躍風景画家として名をなしました。
この「伊豆修禅寺湯治場」は「六十余州名所図会」に含まれる一枚です。版画なので多数刷られ、刷り師の異なる明治版などもあって全国に現存しています。

 桂川を挟んで宿が軒を並べ、部屋には客が居て、すでに江戸時代には湯治場として賑わっていた様子が分かります。太鼓橋は今の虎渓橋、その下流に板だけの渡月橋。中央には独鈷の湯が描かれ、独鈷杵をかたどった石柱や灯籠が川中の岩場に立っています。この独鈷の石柱は、すぐ下流に半ば埋まっていたものが近年発見されました。

 実際の地形では左右から岩が張り出して川が狭窄している場所ですが、広重のこの絵では手前の淵に落ちる滝が幅広くダイナミックに表現されています。




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