トノサマバッタと トノサマガエル


 ここ数年、トノサマバッタとトノサマガエルを見たことがない。
 少年時代、草むらに入ると、真っ先にトノサマバッタが飛び去った何匹も何匹もいた。大きなショウリョウバッタも沢山いた。みなどこへ行ってしまったのだろう。
 まずバッタ達の住める草むらがない。空地や田の回りの草は、きれいに刈り取られている。または除草剤により、みじめに枯れた草そして薬のにおい、沢山の昆虫の死骸。
 トノサマガエルは、どうしているのだろうか?もう絶滅してしまったのだろうか?子供のころカエルといえは、トノサマガエルだった。田圃には沢山いたのに。それから他の横の小さな水路にはタブナも沢山いた。よくたも網で取ったものだ。みんなみんなどこへ行ってしまったんだろう。
 トノサマバッタ達の悲しげな、涙している顔が目に浮かぶ。トノサマガエルの悲鳴が聞こえてくる。天地に生きている多くの草や木、水の中に住む物、知の中にある物、空を飛ぶ物、昆虫や動物達も涙を流している。
「この地球は、人間だけのものではないぞ」と。
ほんの五十年前までは今、アスファルトに変わった大地の下に、ミミズや沢山の昆虫が住んでいた。草むらや森の中には、沢山の生命があった。もちろん海や空にも。
人間は、気付かなければならない。地球という生命体の中で人類は、ガン細胞のごとくなっている事を。我々の生活をあらためる事なしに、このまま突き進んでいたら、地球の生命は尽きてしまうだろう。もちろん人類もろともに。
残された時間はそう長くないように感じている。


(あと書きと御願い)  もし最近、トノサマバッタ、トノサマガエル、タブナ、そしてキセキレイ(鳥類の一種)を観た方がいたら、修禅寺住職に知らせてほしいと思います。修禅寺近辺では、すでに絶滅してしまったかもしれませんので。


2022 指月71号より

(2022年1月)


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